Social Inclusion
REASE の活動
少数派の排除、暴力を生む
熊谷晋一郎
(ひもとく)相模原事件が問うもの 少数派の排除、暴力を生む 2016年10月16日 朝日新聞(朝日新聞デジタル:ウェブ閲覧は会員登録が必要です)
「言葉に詰まる自分」と向き合うための初めの一歩として
星加良司
『現代思想2016年10月号 緊急特集=相模原障害者殺傷事件』青土社
【「当事者」からの視点】 「言葉に詰まる自分」と向き合うための初めの一歩として/星加良司
事件の後で
熊谷晋一郎
『現代思想2016年10月号 緊急特集=相模原障害者殺傷事件』青土社
【「当事者」からの視点】 事件の後で/熊谷晋一郎
Disabled Victims Are Still in the Shadows
長瀬修
After Mass Knife Attack in Japan, Disabled Victims Are Still in the Shadows SEPT. 8, 2016, The New York Times
相模原事件へのメッセージ:米国の母親からの思い
長瀬修
スー・スウェンソン(米国教育省職員)さんからのメッセージ
友人の皆様、
2016年7月26日の神奈川県相模原市津久井やまゆり園での皆様の喪失に思いを馳せる時、私たちの心は痛みと愛情で一杯です。
米国の障害者とその家族にとって、7月26日は大切な日です。私たちの米国障害者法(ADA)の記念日だからです。
皆様の心にとめていただきたいのは、皆様と同様に私どもも人類すべての尊厳と連帯精神がすべての国とコミュニティで実現することを求め、そのために取り組んでいることです。私たちは最重度の障害者と知的障害者のために特に取り組まなければなりません。最も弱い立場にいるからです。
私の愛する息子、チャーリーは重度の障害者でした。そのチャーリーのために介助者であるナテ・ハジュが書いてくださった詩を記します。この詩がいくらかでも皆様の心の慰めになれば幸いです。ナテが2013年のチャーリーの葬儀で読んでくれた時に、私の慰めになったように。私たちは、この生を共に歩んでおります。皆様のそばにいさせていただければと思います。
友だちのチャーリー(ナテ・ハイジュ:メリーランド・ジュビリー協会)
チャーリーは私の友だちだ:私はチャーリーの友だちだ
私はチャーリーを助ける:チャーリーは私が学ぶのを助ける
私はチャーリーが学ぶのを助ける:チャーリーは私が成長するのを助ける
私はチャーリーが成長するのを助ける:チャーリーは私が受容するのを助ける
チャーリーの大変さ:それは私の大変さ
チャーリーの弱さ:それは私に尊敬の念をいだかせる
私の尊敬の気持:それはチャーリーから私への信頼となる
チャーリーの信頼の気持:それは私の献身を引き出す
チャーリーはいてくれる:だから私は必要としてほしいと願う
私はチャーリーの秘密を守る:チャーリーは私の秘密を守る
それは二人の協定
チャーリーは自意識の塊じゃない:だから私はイライラしない
チャーリーはいつも刺激をほしがる:だから私は我慢強くなる
チャーリーが嫌な思いをしている:だから私は敏感になる
チャーリーが楽しそうじゃない:それは私の難問
チャーリーの存在:それは私を独りぼっちじゃなくする
チャーリーの忠実さ:それは私を忠実にする
そしてお互いに、ありがたく思う
チャーリーの脆さ:それは私の脆さを受容させてくれる
それは癒しをもたらす
チャーリーの人間らしさ:それは人と人とを結ぶ
チャーリーのぶれないところ:それは私に集中させる
チャーリーのほほ笑み:それは私のご褒美
チャーリーの喜び:それは私をやる気にする
チャーリーの幸せ:それは私に目的をくれる
チャーリーの大変さ:それは私を不安にする
それは私の試練
それは私を鍛える
そして私の信念を強める
導いている時:私は導かれている
助けている時:私は助けられている
教えている時:私は教えられている
チャーリーの笑い:そこには喜びがある
その喜び:そこには活力がある
その活力:そこには魂がある
その魂:そこには神の恵みがある
(長瀬修訳)
「津久井やまゆり園」で亡くなった方たちを追悼する集会
熊谷晋一郎
2016年7月26日、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所していた19名の方々がその尊い命を失うという、痛ましい事件が起きました。犠牲となった19名の方々に心より哀悼の意を表するとともに、被害にあわれた方々の順調な回復をお祈りするため、追悼集会を行いました。
いまこそ障碍の本質を問おう。 2016年11月6日 UmeeT
障害者ヘイトNO、世界からメッセージ 2016年8月26日 朝日新聞
国内外から寄せられたメッセージ
詳細は当事者研究Lab.
共生社会守る対応を 2016年8月18日 毎日新聞
それでも、他者とつながり生きる【相模原19人刺殺】2016年8月27日 BuzzFeed News
追悼集会に寄せられたメッセージ Connect-“多様性”の現場から 2016年8月29日 ハートネットTVブログ
熊谷晋一郎さんインタビュー Connect-“多様性”の現場から 2016年8月30日 ハートネットTVブログ
尊厳否定「二重の殺人」
福島智
「重複障害者は生きていても意味がないので、安楽死にすればいい」。多くの障害者を惨殺した容疑者は、こう供述したという。・・・中略
被害者たちのほとんどは、容疑者の凶行から自分の身を守る「心身の能力」が制約された重度障害者たちだ。こうした無抵抗の重度障害者を殺すということは二重の意味での「殺人」と考える。一つは、人間の肉体的生命を奪う「生物学的殺人」。もう一つは、人間の尊厳や生存の意味そのものを、優生思想によって否定する「実存的殺人」である。
前者は被害者の肉体を物理的に破壊する殺人だが、後者は被害者にとどまらず、人々の思想・価値観・意識に浸透し、むしばみ、社会に広く波及するという意味で、「人の魂にとってのコンピューターウイルス」のような危険をはらむ「大量殺人」だと思う。・・・中略
障害者の生存を軽視・否定する思想とは、すなわち障害の有無にかかわらず、すべての人の生存を軽視・否定する思想なのである。私たちの社会の底流に、こうした思想を生み出す要因はないか、真剣に考えたい。
(2016年7月28日 毎日新聞夕刊より)>記事全文
その他の掲載紙
「優生思想、尊厳抹殺の克服を」 東京新聞7月30日朝刊
人権軽視と差別をやめ個人大切にする社会に 新聞「赤旗」2016年8月1日朝刊
誰にも潜む差別心と向き合え 朝日新聞2016年8月5日朝刊(朝日新聞デジタル:ウェブ閲覧は会員登録が必要です)
現代社会の写し鏡ではないと否定できるのか BuzzFeed2016年8月16日
被害者個人の視点 大切に
長瀬修
津久井やまゆり園での大量殺人事件には、強い怒りと深い悲しみを感じる。現在、多くの報道が特に容疑者に関して行われている。加害者のことを含め、なぜこのような残虐な行為が行われてしまったのか、私は知りたい。
同時に、暴力的に命を奪われてしまった被害者の方たちのことも、もっと知りたいと思う。生前お一人お一人、何を楽しんでいた方たちだったのだろう。何に取り組んでおられただろうか。
被害者には「障害者」という共通項はあるだろう。しかし、障害者である前に、どなたも障害者でない人と同じように、喜怒哀楽のある人生をそれぞれ送られていたに違いない。
被害者個人個人の姿、人となりを知ることで、私たちはこの悲惨極まりない事件からより深く、くみ取ることができるのではないだろうか。命の大切さを、一層痛切に学べるのではないか。
神奈川新聞には地元紙として、事件の全容を多方面から時間をかけて、明らかにしてほしい。その際、被害者個人の視点を忘れてほしくない。
(2016年7月28日 神奈川新聞より)