個人の医療費と経済状況に応じた「難病対策」を
吉野ゆりえ
The Huffington Post 「病名」ではなく、個人の医療費と経済状況に応じた「難病対策」を
2/5 朝日新聞でも紹介されています(ウェブ閲覧は会員登録が必要です)
遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)
11月25日(土曜日)、東京大学本郷キャンパスにて遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)第三回研究会「難治性・希少性疾患研究における患者参画:ジェネティック・シティズンシップとゲノム基礎研究の交差」を開催しました。
本ワーキンググループでは、今日の遺伝学的情報と難病患者をめぐる社会制度の課題について、各分野の専門家を招きご報告を頂きます。
昨今、難病の治療研究や臨床において、疾患の患者の遺伝学的情報などは主要なリソースに変容しつつあります。これまでは日本では、社会が遺伝学的情報をどのように適切に取り扱い、医療研究を推進し、患者を保護するのかについては、個別の既存法やガイドラインを改定する事で対応がなされてきました。しかし患者であることと遺伝学的情報の距離が益々近づいていく状況の中で、日本でも包括的な遺伝情報差別禁止法などの法制度の必要性が議論され始めています。
患者自身や疾患に関わる人々は、そして一般の社会は、遺伝学的情報と社会制度の関係性をどのように捉えればよいのでしょうか。患者は、臨床研究を通じて社会に参画するために実際にどんな取り組みを行っているのでしょうか。
第三回研究会では、日本での研究参画の実相について、患者会と研究者双方からご報告を頂きました。
前半はREASEメンバーでもある①渡部沙織(日本学術振興会)より、アメリカと日本におけるジェネティック・シティズンシップ(遺伝学的市民権)に基づく難治性疾患患者の研究参画の現状と課題について、冒頭に報告がありました。
後半は、再発性多発軟骨炎(RP)のゲノム研究における事例について、研究者・患者会双方の視点から報告をして頂きました。RPのゲノム研究では、2016年に日本の研究者が患者会と協力して関連遺伝子型の同定をする研究成果を挙げています。患者数が極めて少ない希少疾患の基礎研究領域において、患者の把握や試料収集等で患者会が果たす役割が近年国際的に注目されてきました。
貴重な日本における実例について、②吉藤元先生(京都大学大学院医学研究科)に、RPの関連遺伝子型研究の経緯と成果についてご報告頂きました。③加藤志穂さん(再発性多発軟骨炎患者会・事務局長)には、RPの要因遺伝子研究で患者会が果たした役割や研究参画の課題についてご報告を頂きました。
情報保障:手話通訳・文字通訳・点字資料・拡大文字資料・読み上げ用テキストデータ
*2017年2月に開催した第二回研究会「遺伝学的情報と倫理的法的社会的課題:遺伝情報差別禁止法制の現状と射程」の内容は以下でご覧いただけます。
http://www.rease.e.u-tokyo.ac.jp/tanima.html#20170204
*2016年10月に開催した第一回研究会「難病医療における遺伝学的情報、患者主導型レジストリの現在」の内容は以下でご覧いただけます。
http://www.rease.e.u-tokyo.ac.jp/tanima.html#20161008
遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)
2月4日(土曜日)、東京大学本郷キャンパスにて遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)第二回研究会「遺伝学的情報と倫理的法的社会的課題:遺伝情報差別禁止法制の現状と射程」を開催しました。
本ワーキンググループでは、今日の遺伝学的情報と難病患者をめぐる社会制度の課題について、各分野の専門家を招きご報告を頂きます。
昨今、難病の治療研究や臨床において、疾患の患者の遺伝学的情報などは主要なリソースに変容しつつあります。これまでは日本では、社会が遺伝学的情報をどのように適切に取り扱い、医療研究を推進し、患者を保護するのかについては、個別の既存法やガイドラインを改定する事で対応がなされてきました。しかし患者であることと遺伝学的情報の距離が益々近づいていく状況の中で、日本でも包括的な遺伝情報差別禁止法などの法制度の必要性が議論され始めています。
患者自身や疾患に関わる人々は、そして一般の社会は、遺伝学的情報と社会制度の関係性をどのように捉えればよいのでしょうか。患者は、臨床研究を通じて社会に参画するために実際にどんな取り組みを行っているのでしょうか。
第二回研究会では、①横野恵先生(早稲田大学社会科学総合学術院准教授)に遺伝情報差別禁止法制の現状について、そして②医療社会学者の武藤香織先生(東京大学医科学研究所教授)に、遺伝学的情報をめぐる倫理的法的社会的課題と患者参画の課題について、それぞれご報告をして頂きました。
情報保障:手話通訳・文字通訳・点字資料・拡大文字資料・読み上げ用テキストデータ
*2016年10月に開催した第一回研究会「難病医療における遺伝学的情報、患者主導型レジストリの現在」の内容は以下でご覧いただけます。
http://www.rease.e.u-tokyo.ac.jp/tanima.html#20161008
遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)
10月8日(土曜日)、東京大学本郷キャンパスにて遺伝学的情報と社会制度に関するWG(ワーキンググループ)第一回研究会「難病医療における遺伝学的情報、患者主導型レジストリの現在」を開催しました。
本ワーキンググループでは、今日の遺伝学的情報と難病患者をめぐる社会制度の課題について、各分野の専門家を招きご報告を頂きます。
昨今、難病の治療研究や臨床において、疾患の患者の遺伝学的情報などは主要なリソースに変容しつつあります。これまでは日本では、社会が遺伝学的情報をどのように適切に取り扱い、医療研究を推進し、患者を保護するのかについては、個別の既存法やガイドラインを細かく改定する事で対応がなされてきました。しかし患者であることと遺伝学的情報の距離が益々近づいていく状況の中で、日本でも包括的な遺伝情報差別禁止法などの法制度の必要性が議論され始めています。
患者自身や疾患に関わる人々は、そして一般の社会は、遺伝学的情報と社会制度の関係性をどのように捉えればよいのでしょうか。患者は、臨床研究を通じて社会に参画するために実際にどんな取り組みを行っているのでしょうか。
第一回では、小児科学と臨床遺伝の専門医である沼部博直先生(お茶の水女子大学)に現在の難病の医療で遺伝学的情報が明らかにする事項について、そして西村由希子さん(特定非営利活動法人ASrid)に日本における患者主導型レジストリの現在について、それぞれご報告をして頂きました。
情報保障:手話通訳・文字通訳・点字資料・読み上げ用テキストデータ
The Huffington Post 「病名」ではなく、個人の医療費と経済状況に応じた「難病対策」を
2/5 朝日新聞でも紹介されています(ウェブ閲覧は会員登録が必要です)
11/25:可処分所得に占める医療費負担上限額の割合試算 PDF / PowerPoint
可処分所得に占める医療費自己負担限度額の割合を、再試算しました。参考資料として、小児慢性特定疾患の自己負担引き上げ案についても試算を追加しています。現在、小児慢性特定疾患においても、難病対策と同様に、自己負担限度額の引き上げ案が検討されています。
大野更紗
本日、第34回難病対策委員会が開催されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000027820.html
記者会見も開催しました、今日から明日にかけて散発的に記事が出て行くかと思います。
厚生労働省側の新素案について、可処分所得に占める医療費自己負担限度額の割合を、再試算したものを作成しました。
可処分所得に占める医療費負担上限額の割合試算 PDF
18日の第33回の素案があまりにひどすぎたので「ましになった」ように見えますが、現行制度の給付水準と比較する必要があります。階層区分の閾値である160,370,570の負担比率は10%前後、所得の約10%が医療費負担になります、それが生涯にわたって続きます、負担は非常に重いのではないでしょうか。
現行制度は7階層区分、すべて可処分所得に占める自己負担額の割合は0%〜4%程度に抑えられてきたわけですが、事務局素案ではすべての階層でおおむね負担が増加する可能性があります。
大野更紗
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難病医療費等助成制度(特定疾患)、最重症疾患(ALSなどの12疾患)への特例廃止&大幅負担増から、そのほかの疾患で現行制度下で応能負担をしている患者の負担増まで、包括的に書いてあります。 見出しは、最重症特例廃止のほうに焦点をあてています。
大野は、疾患はとわず、医療費負担制度の全体像についてコメントしました。
プレスリリース:PDF / WORD / TEXT(UTF-8) 参考:可処分所得に占める医療費負担上限額の割合試算 PPT / PDF>再試算:可処分所得に占める医療費負担上限額の割合試算 PDF
>11/25 タニマー試算・アップデートバージョン:可処分所得に占める医療費負担上限額の割合試算 PDF / PowerPoint
内容:難病をもつ患者の生活が、危機にさらされつつあります。国の難病対策を議論する場である第33回難病対策委員会が10月18日(金)に開催され、「難病に係る新たな医療費助成の制度案」が提示されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000026728.html
「新たな医療費助成の制度案」は、難病患者にとって致命的な重い負担です。
年収370万円以上の世帯の自己負担額は、月額44,400円。年間の自己負担額は、1人の患者につき、医療費の窓口負担だけで年間約53万2800円にものぼることになります。年収370万円の世帯の、可処分所得にしめる医療費自己負担額の割合は、約18%にもなります(*現行制度は約3.8%程度)。
このきわめて重い負担水準が、生きている間、生涯続くことになるのです。
現行制度下でも、家族に経済的に依存しながら「ぎりぎりの生活」を維持している患者がほとんどです。医療費以外にも毎日の療養にかかる費用、入院時の差額ベッド代や移動交通費等を自己負担しています。特に、先天性や若年期に難病を発症した患者は、経済的負担が生涯にわたるにもかかわらず、民間の医療保険に加入することもできません。難病への社会支援も未整備のままです。
新制度案は「難病の子ども」「働く若年の患者」にとって、重すぎる負荷です。現行制度下でかろうじて就労を継続している患者の負担額が重くなるため「難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す」という難病対策の改革の基本理念とは、逆行します。難病をもちながら就学・就労しようと願い、日々病とともに必死で生きている患者の「生きる権利」すらも、奪うことになります。
「新たな医療費助成の制度案」が現実のものとなれば、経済的理由から生命維持に必要な受診を抑制する人や、医療費の重い負担に耐えかねて心中や自殺を考える人が続出するのではないかという懸念をもっています。私たちは「このままでは、難病の人は、生きていけない」という声をあげることに致しました。
状況は非常に深刻です。是非、皆様に取材をしていただけますように、お願い申し上げます。
会見者:「タニマーによる制度の谷間をなくす会」代表 大野更紗 他
連絡先「タニマーによる制度の谷間をなくす会」代表 大野更紗 080-1110-3446
*E-mailでのお問い合わせは sarasa.ono@gmail.com までお願いします。
現在、未曽有の急ピッチで難病対策委員会で新たな患者の自己負担に関する議論がなされています。
先週、第33回難病対策委員会で提示された厚労省案は、「衝撃的」なものでした。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000026728.html
厚労省の難病医療費自己負担額の提示案は、年収370万円以上の世帯に月額44400円の自己負担額を一律に求めるものです。年間の自己負担額は、1人の患者につき、医療費の窓口負担だけで約53万2800円にものぼることになります。
世帯の年収370万円のうち(これは社会保険料や税をひかれる前の金額ですので、給与所得であれば手取りで月収二十数万円程度)、家計の約14%〜18%程度が「医療費」になることになります。
これが、生きている間、生涯続きます。
難病患者さんに対する社会的支援は手薄く、また税控除等もありません。
とくに、先天性や若年期に発症した患者さんは、経済的負担が生涯にわたるにもかかわらず、民間の医療保険に加入することもできません。
「難病の子ども」「働く若年の患者」にとって、きわめて重い負荷です。
医療費以外にも毎日の食事療養にかかる費用、入院時の差額ベッド代やその他療養費、交通費、生活費を自己負担しています。現行制度の基準でも、家族に経済的に依存しながら「ぎりぎりの生活」を維持している人がほとんどです。
あらたな自己負担案が現実のものとなれば、経済的理由から生命維持に必要な受診を抑制する人や、医療費の重い負担に耐えかねて心中や自殺を考える人が続出するのではないかと思います。
これは低所得者や限定された誰かの問題とはとても思えません。また、現在かろうじて医療費助成を受けながら就労できている患者さんの負担が非常に重くなるため「社会的支援を受けながら、社会で働き、参加する」こととはまるで逆行する政策に見えます。
「この政策の水準を、ほかの疾患の患者さんへひろげていく」方向性ではなく、「より低い水準(=現行の高額療養費)を持ち出してきて、無理やりあてはめる」方向性へと、急激に舵をきっています。
今、なんとかしないと、病気をもちながら就学しよう、就労しようと思い、日々病とともに必死で生きている難病の子どもや若い患者さんの、「生きる権利」すら奪うことになります。
第34回難病対策委員会(10月29日・火)の直後、午後に記者会見を開く予定です。
大野更紗